クリスマス定番絵本!『まどから おくりもの』五味太郎
うちの4歳息子は、絵本のカバーが大嫌い。
すぐに外してポイします。
たぶん、折り返しの部分がパカパカしてイヤなんですよね。
でも、この本のカバーだけは外したくない……!
そんな母の願いはいつまで叶うだろうか……!?
クリスマスにぴったりの絵本『まどから おくりもの』を購入しました!
息子の希望……ではなく、母の希望で!!
「これ買おうよ〜」と息子におすすめしたら、
「その本、園にあるんだよ。おもしろいよ」
息子、既読でしたー!
でも買いました。
なぜなら、母は五味太郎が読みたいから!
わたし、子どものころにあまり絵本を読まなかったのです。
ですから、定番の絵本もよく知りません。
なにせ、
『ねないこだれだ』
さえ知らなかった……!!
……話をもとに戻して。
『まどから おくりもの』は有名な絵本作家五味太郎さん作のしかけ絵本。
第1弾が『きいろいのは ちょうちょ』。
第2弾が『とうさんまいご』。
どれも味があっていい感じ。表紙を見ただけで気になります。
……で!!
『まどから おくりもの』は、クリスマスの夜のおはなし。
サンタさんがいろいろな動物たちの家へ行き、
窓から中をのぞいて、
「この動物には、このプレゼントがいいだろう」
と置いていくのです。
ところが、サンタさんが窓から見たネコさんは、
ブタさんが着ているパジャマの絵柄だったり、
窓から見えたキツネさんの耳らしきものは、
実はワニさんの背中のトゲトゲだったり……。
そうしてサンタさんは、その家に住んでいる動物を勘違いしては、
ちぐはぐなプレゼントを置いていってしまいます。
ところが翌朝になってみると……。
不思議なことに、動物たちは、
ちぐはぐなはずのプレゼントに大喜び!
一体どういうことなの?
といったところを楽しめる一冊になっています。
「えー、ここはシマウマさんのおうちじゃないよねえ」
「ほんとだよねえ。でも、こっちから見るとシマウマさんに見えない?」
お子さんとそんな会話を楽しむことができますよ!
* * * * * *
では、一体この絵本のどこが「しかけ」なのか、
……ということですが。
それはズバリ「窓」です。
窓の部分がぽっかり切り抜かれており、
そこから、次のページに描かれた動物の一部が見えます。
それを見ると、
「あ、シマウマみたい」
とサンタさんと同じように思うのですが、
ページをめくるとあら不思議。
まったく違う動物だった!
と、驚くことになります。
驚いているとき、もう一度、ぽっかり空いた窓の部分を振り返ると、
そこから、サンタさんのお顔がちらり……。
それがまたキュートですてきなのです。
* * * * * *
絵柄のかわいさやしかけの面白さのほかにもう一つ、
この本を選んでとてもよかったと思う点がありました。
それは、物語のさいごの部分。
サンタさんの勘違いから、ある男の子がプレゼントを2つもらいます。
一方で、やっぱりサンタさんの勘違いで、プレゼントをもらえなかった動物がいます。
その動物に、男の子が、
プレゼントをひとつ分けてあげるんです!
「すごく優しい子だね」
「なかなかできることじゃないよ!」
と、母は一生懸命その子を褒めました。
* * * * * *
自分のものを、誰かに分けてあげる。渡してあげる。
子どもにとってそれは決して簡単なことではないのだな、と感じます。
息子が使っているおもちゃを、
お友だちが使いたがって取り合いになったとき。
その場をおさめるには、
「おもちゃ、貸してあげなさい」
といえばいいのかもしれないけれど、
息子はまだ、
「このおもちゃを使いたい」
と思っているわけですから、
その気持ちも無碍にしたくありませんよね。
言葉の選び方が下手なわたしは、
「もう少し遊んだら、貸してあげようか」
くらいしかいえないのです。
でも、持たない人に、持つ人がわけてあげたり、
ゆずってあげたりすることは、良いことだろうと思います。
それが良いことだ、という認識を持ってほしい。
そういう思いがわたしにあるので、
息子の前で、この男の子をとっても褒めてみせたのです。
この男の子はやさしい子だな。
息子の気持ちのなかに、
そんなふうに残ってくれたらいいな、と思います。
* * * * * *
そうそう。そうでした。忘れていました。
この本のカバーをわたしが外したくない理由。
それは、カバーにも窓がくり抜かれているから!
ただそれだけなんですけれど、なんかかわいいんですよね。
カバーをとったところで表紙の絵柄は何ら変わらないのですけれど、
それでもあえて、お金をかけてくり抜こう、と思ったのは、
編集の方か、五味太郎さんなのか。
気になります。